美少女プラモデル、今すごい勢いありますよね。
体感上、美少女プラモデルのムーブメントは過去大まかに、都度3回ありまして、
『フレームアームズ・ガール 轟雷』がコトブキヤより発売。素組での革命的な可愛さと、手を掛けた分だけ応えてくれるカスタム性が広まり、瞬く間に品薄となった2015年。
上記『フレームアームズ・ガール』が人気を受けてのアニメ化。この機を逃さず再販品が量販店に並び、プラモデルを作った事のない層へ向けても強く訴求がなされた2017年。
アオシマやグッドスマイルカンパニー、そして"あの"バンダイ等、多数の立体物メーカーが美少女プラモデル専用ブランドを立ち上げて本格参入。トップランナーのコトブキヤも已然として魅力的な新製品を供給し続け、コロナウィルス感染拡大によりインドア需要の激増したフィールドを舞台に、美少女プラモ群雄割拠が繰り広げられる2020年～2022年の今現在。
中東の原油高や中国工場での計画停電に起因する、プラモデル全般の品薄傾向。
悪しき購買形態である「転売」の蔓延。
明るい話ばかりでもない。昏い陰射す世情もある。それでも各メーカーの広報戦略や、模型初心者にも優しいつくりが新規ユーザーを右肩上がりに獲得しており、ジャンルの勢いを過去最高に実感できるのは嬉しい限り。
いや～、楽しいんですよ。
パーツをランナーから切り離し、ヤスって、嵌め合わせる。
切り離し、ヤスって、嵌め合わせる。
切り離し、ヤスって、嵌め合わせる。
地道な作業を反復するうち、素っ気ない部品の集積が、曲線柔らかな女の子のカタチを成していく高揚感。
ようやく完成したキットを可動させ、ポーズを付け、武器や小物を持たせては眺める時の達成感。
そして何より、自分で作ったことによるオンリーワンな"うちの子"感。これ！！！これこそ最も肝要であり、美少女プラモの起爆点。特定の原作や性格付けをバックグラウンドとして持たせない(ものが多い)配慮も相俟って、ハマるんです。一見同ジャンルである完成品フィギュアとは似て非なる、別ベクトルの魅力だ。
バーゼラルド「アルシェ」完成しました！
— でるた (@delta0401) 2020年5月23日
大型ブースターを装備することにより高い機動力を獲得し、ガトリングやグレネード、ミサイル等の実弾を大量にばら撒く物騒なうちの子です。弾と燃料が切れたらブレード一本になり大幅に弱体化するので、手加減してあげて下さい。 #フレームアームズガール pic.twitter.com/gUB90jw9fF
更に、間口は広いが奥行きも深い。
最初はただ、説明書通りプラモデルを組み上げるだけで満足でしょう。十分過ぎる程に可愛いし、愛着も湧く。
だがそのうち「ここにこういったパーツを加えたい」「更に武装を盛りたい」「一芸特化の型にしたい」「塗装したい」等々、禁断症状にも似た欲求が必ず湧いてくる。キット本体は、言わばゲートウェイドラッグなのだ。
ともすれば自分の組んだプラモが話しかけてくる強烈なハルシネイションを患った僕たちが、うちの子をもっと強く・更に可愛くするイマージュを具現化せんと向かう場所は！そう！模型ショップ！でも近頃じゃ町の模型店はめっきり減ってしまったので、今は家電量販店の模型コーナーが主流でしょうか。私が高校時代、その箱の大きさからエロ本の隠し場所として重宝したマスターグレード量産型ゲルググを小遣いで買ったお店のシャッターも、もう10年以上閉ざされたままです。最後に立ち寄った時は『けいおん！』の痛車プラモデルで起死回生を図っていた店長、息災かな……
話を戻そう。美少女プラモにハマる前と、ハマった後じゃ、模型コーナーの見え方が変わるんですよ。以前は用途にピンと来なかった、メーカー推奨カスタムパーツの類が俄然輝きを帯びてくるにとどまらず、ガンプラを初めとした他ジャンルのプラモデルまで「ムッ！これは使えそうなパーツ！」と、どれもこれもが我が子を着飾る衣装に見えてきて、狩り、開始。我に返ると、極少数の目当てパーツの為に云万円飛んでたこともしばしば。だ、だって可愛いうちの子が「射撃兵装に不安があるから、大型ガトリングにベルトリンク付き追加弾倉のセット欲しいな☆」って言ってたんだもん…… プラ板、パテといったマテリアルを用いてのパーツ自作や、表情パーツのリペイント、ドールアイの埋め込みといった高度な技巧を施すことで、「うちの子可愛い！！」の更なる頂を目指すモデラーも数多く、その有り様はさながら、現代のピグマリオン(注1)と言ったところでしょうか。
注1 ピグマリオン……自作の石像に恋をしてしまった古代ギリシャの彫刻家。切なる祈りが天に届き、生命を得た石像と結ばれました。『ピグマリオン効果』の由来としても有名ですが、こちらは「教え子や部下に期待をかけるほど、その期待通りの結果を出すようになる」事象を意味する教育・人事用語であり、美少女プラモが自我を持って動き出すことでは全くないので注意。
前置きに筆を費やしてしまいましたが、今回作ったのはこちら！
『メガミデバイス 金潟すぐみ』！
コトブキヤが誇る『フレームアームズ・ガール』との二大看板的美少女プラモブランド、『メガミデバイス』の準最新作。特定の原作に依存しない通常アイテムとは違い、こちらは人気ソーシャルゲーム『アリス・ギア・アイギス』のキャラクター、金潟すぐみさんの立体化となっております。
だ、だが、私は、アリス・ギア・アイギスをプレイしていない……！！やはりこういった記事は、ゲームでの追体験や使用感、思い入れを交えながらだと俄然芯が通ってくるので、もどかしい。痛痒も痛痒、片手落ち。
しかし、そのヒロイックなメカデザインを見た途端、衝動が走り、なしくずし的に店頭のラスト1個へ手が伸びてしまったものは致し方無しの不可抗力。ジーっと見てたらドーにもなりませんでした。
でもまあ、原作を知らないのに組んだプラモデルのひとつやふたつ位、モデラーならありますよね？あるよな。あるだろう。あるはず。あるに決まっている。あれ。
パカッと開封し、取説をめくる。
何故取説にライダー変身のポーズが……？？？
後から調べた所、すぐみちゃんは美大に通う凄腕の女子大生モデラーであり、商業製品の原型や特撮のプロップ(！？)等も幅広く手掛けているとのこと。なるほど、だからライダーの変身ポーズなんですね。そして「金型」で「素組み」なのでモデラー。解りやすい。
ところでこういう、名が体を顕し過ぎているキャラを見るたび「子供がもしその道に進まなかったら、親はどう思うんだろう……？」と考えてしまうのは私だけでしょうか。
昨今のマスターグレードに匹敵する、購買者を威圧してやまない箱サイズは伊達ではなく、ランナー数は怒涛の42枚。とはいえ大ぶりのパーツや、使用は好みのエフェクトパーツも多い為、組むだけなら見た目ほど時間は掛からない印象でした。
特筆すべきはパーツの分割。コトブキヤさんのキットはバンダイさんに比べ「ここは色分け無しの1パーツだろうな……」と見本からマスキングの手間を覚悟する部分が多いのですが、『金潟すぐみ』はちょっとスゴい。えっココ、割ってくれるんだ！？と感嘆の漏れるパーツ分割がそこかしこに見られ、更なる技術的前進を感じさせます。とりわけ、パーツの積層で表現されたニーソックスのV字模様は最早リアルグレード。
とはいえ元デザインが複雑なので、色分けの完全再現には残念ながら至らず。細やかなパーツ分割を誇るキットではあるんですが、それでも塗装しないとかなり色が足りません。
金潟すぐみ、名前は素組なのに手間のかかる子！
マスキングします。ぺたぺた。
なんどやっても剥がす瞬間は緊張する。
出来た！拡大すると若干怪しいですが、まあいいでしょう。
スーツ肩部の細かい装飾もゴールドで塗り分け。いい感じの径があるのでハイキューパーツのVCドームを埋め込む。
こちらはすぐみちゃん製作中に完成した、ガンダムMKIIとバーザム。なんか途中で違うキットを作り始めちゃうこと、ありますよね……
あらかたマスキングも終了したと思いきや、シールドの黒ライン塗り忘れに気づく。なんだここ！？こんな所塗れんのか？？？？尻込みするも、恐れていては駄目だと心に誰かのメッセージ。金潟すぐみ、名前は素組なのに手間のかかる子！(2回目)
そんなこんなで完成。
ヤッター！すぐみちゃんかわいい！！！格好いい！！！
金部分はMr.スーパーメタリック2のスーパーゴールド2で。
墨入れ、トップコートの他、デカールは少し多めに貼りました。
シールドからの抜刀がヒロイック……！
モデラーっ娘らしいエアブラシな銃。遊び心あるデザインで好き！
砲撃ギミック。たぶんゲージを貯めて撃つ必殺技的なやつ。たぶん。
非武装モード。衒いなくかわいい。これ撮ってる時ベルトの塗り分けを忘れてるのに気付きました。金潟すぐみ、名前は素組なのに手間のかかる子！(3回目)
し、信じて下さい！すぐみちゃんに変身ポーズをさせるのは説明書にも載っている公認の遊びなんです！
動き～出してる～未来を止められない～
タカ！トラ！バッタ！
ゲーム内でオーズの変身ポーズをしている場面があるらしい。
以上、『メガミデバイス 金潟すぐみ』でした。
可愛く格好いい子なので、作っててとても楽しかったです。いやあ可愛いなあ。『アリス・ギア・アイギス』、プレイしてみようかな……
パーツの分割が凄いとはいえそれでも色が足りないのと、ボリューミーなキット故に置き場所を大きく占有するため、これから作る人はその辺り注意されたし。
そして『アリス・ギア・アイギス』には、もう一人気になるキャラが……
という事で、買ってしまいました！
この子たぶん、いや絶対、ツンデレキャラですよね。原作知らなくても、もう雰囲気で解りますよ。絶対ツンデレキャラだ。
いずれこちらも、折を見て組んでいこうと思います。
それでは。
どう塗りゃいいんだよこの盾……
