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観たものや読んだものの感想など

映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』感想


  
 
とある映画好きのフォロワー。
「彼が面白いと褒めている映画は、まず間違いない」と密かに信頼しており、近場に住んでいた頃は何度か一緒に映画を観に行った事もある彼が、コイツ配給から金貰ってんじゃないか????と勘繰るほどに、平日の真っ昼間からベタ褒めしていたのがこちら。
 
dd-movie.jp

『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』。


鼻孔を突く、強烈な午後ロー臭さに思わずたじろぐ。
が、ちょうど観たい映画が他にもあり、一本のみ観て帰るにはコストパフォーマンスが悪いので(僻地住まいだから映画館まで2時間かかるの……最短距離の山道は鹿や熊も出るし、廃墟もあって帰りの夜中すげー怖いの……)、ものはついでと、観賞の運びに。
 
私は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に直接触れたことはないが、RPG文化の原典的存在として認識はしており、プレイしているTCG『マジック・ザ・ギャザリング』とコラボしていた縁で(『よろめく怪異』『蜘蛛の女王ロルス』などが強かったですね)、にわか知識があったのも決め手。
 
そして到着。
京都市内の某イオンシネマ。
着席し、観賞すること134分……
 
 
面白ッ!!!!
めちゃめちゃ面白いやんけこの映画!!!!!

 
『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』、世辞、誇張、フカシ抜きに、ファンタジーコメディ映画の大傑作じゃねえか……!!
 

 
 

笑いへの取り組み意識の高さ

コメディ映画の最重要事項は、なんといってもギャグが面白いことだ。
その点で本作は合格も合格、5分に1回くらいの頻度でなんかしら面白い事が繰り広げられる上、笑いの平均打点もすこぶる高い。
私が観たイオンシネマでは、老若男女幅広い客層が席に着いていたのだが、笑わせシーン到来の度、ワハハ〜〜と笑い声が巻き起っていた。みんなが笑ってる。お日様も笑ってる。コメディ映画の本懐です。
日本におけるダンジョンズ&ドラゴンズ(以下、D&Dと略す)認知度を鑑みれば、あの時、あのイオンシネマで、D&Dを知っている客など、恐らく1割にも満たなかっただろう。
にも関わらずしっかりウケを取れていたのは、本映画が、D&Dの前知識を一切必要としていない証左だ。観ようか迷っている人がよく「D&Dとか知らんしな〜」とぼやいているが、心配無い。本作は決して、マニアだけに分かる符丁を用いた、目くばせ的な笑いには頼っていない。
 
 
 

例を挙げよう。私自身はトレーディングカードゲーム、『マジック・ザ・ギャザリング』を通じて僅かばかりD&Dに触れており、この「知性喰らい」というカードをよく使っていた。なので、コイツが映画にドタドタ出てくるだけで 、「あ!知性喰らいだ!」ってクスリときちゃう。
しかし、間髪入れず登場人物から「知力の高い人間に反応し襲いかかるモンスターだ」と解説が入るので、D&Dを知らなくても全く問題ない。そしてこの解説がすぐさま「コントのお題」へと転じ、知性食らいの特質を活かしたドタバタ劇が始まることにより、説明台詞の説明臭さを抜きつつお客さんから笑いを取る!!
この、解説→お題→ギャグの変換工程が、D&Dを知らない人を繋ぎ止める紐帯の役割を見事に果たし、本作を、誰が観ても楽しめるコメディ映画に仕立て上げているのだ。
ギャグのバリエーションも多岐に渡る。
視覚・聴覚に笑圧を掛ける、単純な、所謂ローブロウの笑い。気付くことができれば面白い、ハイブロウな笑い。伝達の不自由が生む笑い。融通の効かないルールがもたらす笑い。反復による笑い。不謹慎な笑い。全編を通じ、笑いの骨法とでもいうべきものが惜しげもなく投入されており、客を徹底的に楽しませようとする。
前述の「知性喰らい」コントを再び俎上に乗せ、解剖してみると、オチとなる「全員バカだから知性喰らいがスルーしていく」部分が、視覚的に面白く、登場人物も解りやすいリアクションをしてくれる、ローの笑い。「気高く知的なパラディンもバカの中にしっかりカウントされている」部分が、気付くことが出来れば面白い、ハイの笑いだ。笑いのハイ&ローミックスが、物凄く綺麗にキマっている。ワザマエ。

D&Dの前提知識は要らないと散々強調したが、説明が完了したアイテムや魔法は、あんかけパスタのあんかけのようにこれでもかと笑いへ絡めていくため、「面白いけどさあ、これファンタジーでやる必要ないじゃん!!!」には決してなっていないのが、また偉い。
下ネタはやらないのも今風で好印象。
 

キャラクターが魅力的

 
言葉巧みで知恵の回る詩人エドガン。
怪力無双の女戦士ホルガ。
ヘタレ魔法使いのサイモン。
変身能力を持つドルイドのドリック。

このパーティメンバー達が皆、とても魅力的なキャラクターに仕上がっている。
エドガンは戦闘力がほぼ皆無なのにも関わらず、パーティのブレイン兼ムードメーカーとして必要不可欠な存在に描けているし、ホルガは映画に登場した瞬間から、コイツが暴れれば大体なんとかなるであろう絶大な信頼感に満ちている。どうにも殻を破れなかったサイモンが、覚醒イベントを経て一躍パーティの中核戦力へ躍り出るのは、誰でも予想できるお約束とはいえ、様式美に満ちており、熱いもんは熱い。ドリックの、クールでドライ、やや陰な雰囲気の子が、時折デレる破壊力も抜群だ。
ギャグパートで様々な角度から丁々発止のツッコミが飛び交うのは勿論、困難を打破する際は4人の長所が絶妙なバランスで持ち寄られ、「こいつはあんまり役に立たなかったな……」などとは絶対に思わせない。
そして彼等らがまた、絶妙にダメなやつ揃い!
押収した悪党の財産を掠めたことから盗みにハマる、大雑把な性格が災いしバツイチ、自信が無くて卑屈、暗くてボソボソ……と、みんな、どこか人間としてダメ。
しかし、それがいい。
共感性の高い、ありふれた欠点に絡め取られ、失敗してばかりの彼らだからこそ、応援したくなってしまう。今度こそは、勝って、誇りを取り戻して欲しいと願う。人を情けないと思う気持ちと、いとしいと思う気持ちは、極めて似ているものだ。
あと、個人的に好ましかった点として、本作、ヘイトを買いがちなポジションへのケアがうまい。
聡明で、善良で、超強くて顔もいい、通称・セクシーパラディンことゼンクは、ともすれば嫌味になりそうな所を「ユーモアがゼロなので皮肉や当てこすりが全く通じない」というボケで愛嬌を持たせており、程よく途中離脱するので、他メンバーの見せ場を食わない。
ホルガと離婚した元旦那のハーフリングも、紹介してくる再婚相手がホルガ同様にゴリウー系で「コイツ、性癖に素直すぎる!!!」と笑ってしまうし、本人も再婚相手もいい人だ。
エドガンに不義理を働き、地位を得ているフォージだって、己の器の小ささをどこかでわきまえており、憎めない(演者もあの、ロマンティックコメディの帝王ことヒュー・グラントだし)。引き取ったキーラとの、良好な疑似家族関係を続けていたかったのも、本音だろう。
黒幕の邪悪なレッドウィザード・ソフィーナでさえも、フォージに辟易しながらようやく成就までこぎつけた野望が台無しにされてしまい、「オイオイオイオイ~~~ッ!!!」となりふり構わず悪態をつく姿には、ちょっと同情してしまう。
特に唸らされたのがエドガンの娘キーラ。この手の、娘のために奮闘するシングルファーザーを描くストーリーで、「どうしてパパは私を置いて行っちゃったの!パパ大嫌い!」などとゴネる娘、全く感情移入できなかったりするじゃないですか???地雷です。だいぶ地雷なキャラ。しかもキーラちゃんは敵であるフォージをおじさまと慕うし、フォージが本性を表してからは案の定人質になりイライラさせられる……
しかし、そんな彼女にも、パーティ絶体絶命の窮地を救う、まさか、まさかの大活躍が割り当てられており、下がった心象がV字回復!!ココで私は「ウォォ〜この脚本スゲェェ〜!!」って、完全にしてやられました。「D&D面白かったけどさ、旅の目標となるエドガンの娘が鬱陶しいだけなのはどうにかならんのか」と感想がほぼ固まりかけていた所に、そんな反応も予測していたぜ!と、完全に見透かされ、先手を打たれる気持ちよさ。
負けた。負けたぜ『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』にはよ……
 

エドガンとホルガの絆

 
フィクションにおける男と女の、恋愛ではない固い絆って、みんな大好きですよね。
あります!本作にもありますよ!!!
『D&D』全編を貫く、エドガンとホルガの恋愛ではないパートナーシップ。これがもう、素晴らしい。よろめくほどに、尊い。キャラクターが良いという話は既にやったが、この二人はわざわざ別項を設け、改めて強調しておきたい程に、名コンビ中の名コンビだった。
機知に富み、口も頭も回るが、ケンカはからっきしな詩人エドガン。大雑把で無愛想なムキムキマッチョ、ゴリラ系ウーマン戦士ホルガ。まず、この凹凸感がいい。一長一短のクラスを集めてパーティーを組む、RPGの旨味をギュッと濃縮した、まさに本映画のブイヨン。
「俺が考え!お前が殴る!ダンジョンズ&ドラゴンズ!!!!」の呼吸で様々な窮地を乗り越える彼らの勇姿は、どの場面を切り取っても胸のすく思いだが、この、RPGならではのクラスロールに基づく美しい連帯関係を、バトルや冒険のみならず、しっとりしたドラマパートへも持ち込んでいくのが、もう、最、最、最高に素晴らしい。エドガンのやり場なき怒りを察したホルガが、「アイツを殴ってやろうか?」と申し出てくれる力強さに救われ、ホルガの哀しみを見かねたエドガンが、そっと一曲歌ってくれる優しさに癒やされる……
これ!!!これだよ!!!キャラクターの心情で魅せるドラマパートにおいても、戦士、詩人というクラスロールがしっかり意識されている、もう脱帽ですよ!!
全てのRPG原作映画、かくあれかし。
 
エドガンとホルガ、この最高の2人をまだ観ていないのにこんなネタバレ記事を読んでいる貴方、今すぐ映画館に行って、ふたりの尊さを伏して拝め!!!
てか、行って!!興収を伸ばし、映画続編に漕ぎつくために!!!
 

視覚効果が楽しい

 
本作『D&D』は、『ロード・オブ・ザ・リング』『アバター』ほどの超大作ファンタジー映画ではないため、史上初の映像体験!!!と呼べるほどの豪華さは、残念ながら無い。
しかし、いかにもB級映画然とした佇まいに反し十分なお金は掛かっており、ルックがチープでは決してない。中世を基調とした街並みや屋内に、衣装、武具、調度品といった小道具がよく馴染んでいるし、そびえ立つ城郭、眼前に広がる原野、不気味な墓地といったロケーションも冒険ムードを掻き立てる。異世界を映像で魅せる事に真摯なのだ。
魔法のエフェクトが多彩で楽しいのも、ファンタジー映画として合格。術者から時間停止フィールドが展開していくタイムストップや、物体の輪郭がほつれていくご先祖様空間は、他作品でもあまり見ない個性的な表現で印象深い。魔力で精製した手と手をぶつけ合う、サイモンとソフィーナの魔法合戦も手汗握る名バトル(手だけに)だったし、忘れられないのがドリックの変身!ドリックの変身能力がすごく楽しい!様々な生き物に変身しながらの逃走劇を、ワンショットで追い続けるシーケンスは、間違いなく本作における名場面のひとつ。アウルベア変身時の豪快なアクションも『アベンジャーズ』のハルクみたいで、素の彼女とのギャップがたまらない……というか明らかにハルクのパロディしてる場面あったな???
 
そして何と言っても、情景、魔法と並ぶファンタジー映像作品のお楽しみといったら……モンスター!モンスターですよ!
 
www.youtube.com

ウルトラマンの陰の主役がウルトラ怪獣であるかの如く、RPGの陰の主役はモンスターと言っても言い過ぎではない。みんなも大好きでしょう、RPGのモンスター。私も子供の頃は『ドラゴンクエスト』の攻略本、そう、上下巻に分かれているあの攻略本! 攻略本の、モンスターが載っているコーナーを、繰り返し繰り返し、何度も読み返したものだ。エッチな装備品のイラストが載っているコーナーも、同じくらい読み返した。
話を『D&D』へ戻そう。そんな、RPGの華とも言えるモンスター達が、本作では質感たっぷりのCGで描かれ、スクリーンを跳梁跋扈と暴れ回る。剛腕を振るうアウルベアが!死の眠りから蘇ったゾンビが!空を舞いブレスを吐くブラック・ドラゴンが!巨体でゴロンゴロン転がってくるおデブ・ドラゴンが!エドガン達の行く手を阻む!阻まないヤツもいる!
とりわけディスプレイサー・ビースト(ヒョロヒョロっと長い触手の生えた黒豹のようなアイツです)が、触手をプロジェクターのように使い幻影を形成するのが、珍しいギミックで面白かった。巨大スライムのゼラチナスキューブに取り込まれても、短時間なら肌がヒリヒリするだけで済むのにも笑った。もっとこう、一度取り込まれたらジュワーッと溶かされ一環の終わり、みたいなモンスターじゃなかったのか。
 
世界観を構築するエッセンスが魅力的で、観賞後はパンフレットが読みたくなること山の如しな本作ですが、諸事情により用意できなかったとか。うーん勿体無い!お詫びに公式がタダでプロダクションノートを配信しているので、興味のある方は一読されたし。
 
https://dd-movie.jp/press.pdf
 
 

要素を使い倒す気持ち良さ

 
突然ですが『仮面ライダーオーズ』の最終回ってありますよね。TVの最終回。10年越しの完結編が残念な事になったのは、今は関係ないので忘れて下さい。忘れたい。その『オーズ』最終回が、仮面ライダーシリーズ屈指の最終回と賛美される要因は沢山あるのだが、私個人としては、既に強さの全盛期も商業上の販促期間も過ぎた、「使い終わった要素」であるタジャドル・コンボが、予想だにしえない大活躍を見せた興奮、既存要素のロジカルな再活用がもたらすウェルメイド感こそが『オーズ』最終回を盛り立てた、最大のファクターだったと思っている。
 
非特撮の記事で、仮面ライダーを例に挙げるのは些かよくなかった。では、ディズニー映画の『リメンバー・ミー』にしよう。ディズニー弱者の私が、珍しくドハマりして何度も観た『リメンバー・ミー』は、要素のしゃぶりつくしで物語を駆動させる手際が、とても鮮やかだった。顔部分が破損した先祖の写真、ココお婆ちゃんの認知症、イメルダの音楽嫌い、野良犬のダンテ、アルブリヘのペピータ、デラクルスを潰した鐘、忘却と消滅に関するルール、劇中曲リメンバー・ミーの歌詞……

つまるところ人間は、一度見せたモノをそれっきりにせず、有効活用し、使い倒す様にカタルシスを覚える生き物なのだ。流し台の洗浄用に買っておいたパイプユニッシュが、キャンプで使用した鍋の焦げ目落としにも便利だと、嬉しい。余った重曹が豚肉を柔らかくするのにも使えたら、嬉しい。わざわざ新しく買ってくるよりも、心が弾む。
伏線でもなんでもない要素を「伏線だ!!!!」と声高に騒ぐ人がいるのも、伏線であって欲しいからなのだ。伏線が巻き取られる瞬間の、パンツが先っちょに擦れるだけで射精しそうな快感を、味わいたくてたまらないからなのだ。「チェーホフの銃」なんて言葉があるのも、見せた要素は最大限に活用して欲しい、回収への希求の具現に他ならない。
 
そこで『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』だ。
本作も、一度見せた要素の使い倒しが滅茶苦茶に上手い。活躍の終わったアイテムや、しょーもない使い方をされた魔法、空振りに終わった作戦、コントの場面までもが、後々に活かされ、使いまわされ、リフレインされ、「ココでコレを使うのか!!!!」「あの場面はこれの前フリか!!!!」と舌を巻かせるのが、うまい。バカばっかりやっている映画のクセに、悔しいほど計算づくで、うまいのだ。チェーホフもガトリング砲を乱射するレベル。散々ここまで本作を褒めてきたが、「あ、この映画面白い!」の感情を、最も強く喚起するのは、要素の再活用を巧みに織り込んだ、ストーリー構築の妙を置いて他ならない。
そして、何より素敵なのは、要素の再活用で魅せるストーリー構築が、単に面白いだけではなく、「人生に無駄なことなど決してない」という本作のテーマを、全力で下支えしている点だ。
サイモンがしょっぱい詐欺に使っていた魔法が、パーティーを窮地から救った。ホルガと旦那の悲しい別れがなかったら、ここ・そこの杖は巡ってこなかっただろう。皆がヘマをやらかし一旦捕まったからこそ、呪文封じの手枷は最終決戦の場に存在するし、この手枷と超強力なシナジーを形成する透明化ペンダントも、エドガンが落ちぶれ、泥棒をやっていた頃にキーラへ渡したもの。映画ラストでエドガンが行う、作中最も忘れがたく情緒的な"とある選択"だって、部屋に迷い込んできたトンボを巡る、今は亡き妻との、他愛無いやりとりが後押ししてくれたのだ。
負け犬達が群れ集い、誇りを奪還するための戦いは、過去の敗北、零した涙、潰えた夢の結節点。全てはこの時のために。周り巡って、流れ転じて、お前がいて、俺がいて、それがある。
人生の普遍的な理を、RPGの楽しさとお笑いに包み、気取らず歌いあげる。それが『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』なのだ。
こ、こんな、B級とナメていた映画にホロリとさせられるなんて……‥‥と感極まった所で、とある場面が"再活用"され、最後はやっぱりゲラゲラ笑わせて〆るのも、完璧である。パーフェクト!
 

似ている映画

 
まず、真っ先に連想したのが『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』
現実世界のプレイヤーが、ゲームキャラクターをロールプレイするおかしみを前面に出している点で、ハイファンタジーの『D&D』と趣を異にしつつも、パーティメンバーが互いの長所を活かして奮闘し、誇りや自分らしさを取り戻していく大筋は、同じ噛み味がするものだ。
軽妙でチャラい主人公がパーティ仲間と冒険する点で、マーベルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』との相似もよく挙げられている。『D&D』プロデューサーのジェレミー・レイチャム氏は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の制作総指揮も務めているので、似ているのもむべなるかな。
犯罪捜査官がチキン屋をやる超面白韓国映画『エクストリーム・ジョブ』にも似ていると感じた。本当は凄くイケてる筈なのに、どうにも冴えない奴らがチームを組み、任務の達成を通じて自尊を回復するストーリーもさることながら、笑いへの取り組み意識がひたむきに高く、『D&D』と同じ志を感じる一本。
これらの映画が好きなら、『D&D』、観に行って損はないだろう。
 

おわりに

 
まだ映画を観ていないのにこの記事を読んでいるあんた、『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』と縁が出来たな!!すぐにインターネットをやめて、映画館に駆け込み『D&D』を観ろ!!!!

いや本当に、凄くいい映画なんですよ。なのにも関わらず、ポスターも予告も邦題もCMも全く面白そうに見えないので、こうしている間にも、南極の氷のように、アフリカの熱帯雨林のように、上映回数はどんどん減ってます。名探偵コナンが来たらもう終わりです。

大体、広報アカウントが「騙されたと思って」なんて弱腰でどうするんだよ!騙せよ!!「ファイナルファンタジーとドラゴンクエストの原典」くらいはフカしなさいよ!!
せめて、映画冒頭からジャーナサンで脱走する辺りまでをyoutubeで公開すれば、かなり興味持つ人出てくると思うんだけどなあ……なんとかなりませんかね???
 
ビホルダーやマインドフレアといった、まだ映画に出ていない有名モンスターも多い。
他の冒険者パーティがあまり活かされなかったから、次作では、エドガン一行が悪のライバルパーティと競争し、お宝を奪い合うような話も観てみたい。
続編成就のためにも『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローの誇り』、観てくれよ!!!絶対だぞ!!!